EVOLUTION

ミュウツーの逆襲EVOLUTIONを観ました。

ごくごく正直な感想としては、3DCGデザインすごいキモイなぁということです。

一先ずそれはさておき、結論としてはどんなにビジュアルがキモくとも脚本が同じである以上、得られる感動は然程変わらないということがわかりました。
20年以上前の大好きだったあの作品が、原点と言えるあの作品が、形はどうあれこうして現代に帰って来たことは素直に感慨深い。

大人ばかりがひしめき合う平日早朝の映画館、ボロボロと静かに涙を流す自分。後方からは鼻を啜る音と嗚咽が聞こえる。ガチ泣きじゃん。


追加・改変シーンは何気に自分の中では好印象のものが多かった。これらのシーンがあるために、得られる感動が同等なら元の作品を観ればいいじゃない、とならないのが上手くできている。

しかし元来「ミュウツーの逆襲」が持っていた印象がガラッと変わり、崩れ去ってしまう悪手も勿論あった。特に序盤のジャングル・研究施設・サカキとのシーンは観る者に酷い苦痛を与えるのではないかと思う。キャラの台詞も撮り直しが行われ、当時の印象とは異なった芝居になっているものがいくつかあった。
あの時代、あるいは2D特有の影の表現と言うべきか、明暗の激しいコントラストが損なわれ、全体的に明るく3Dのつるっとした表現で構成された今作はかつてのじめっとした有機的で仄暗い雰囲気が完全に取り除かれてしまっている。これは正直にショックが大きかった。

そして、はっきり言って3DCGデザインが最悪だ。
水、炎、煙、光と影などという要素は本物かと見紛うくらい上出来であるのに、芝生や花、木々などの生命体になった途端に出来の悪いプラスチックのおもちゃのようであるのは何故なのか。
この残念すぎる3DCGの特徴は、人間の造形に特に顕著だ。原作のアニメ調に寄せている一方で、口内から覗く歯はやけに細かく描写されている。個人的に一番気持ち悪い要素はこの歯並びではないかと思う。また、目元から下の顔部分、頰と口の動きがとにかく不快だ。どういったプログラムを用いているのか疑問に思う。
そして悲しいことにポケモンたちのデザインも奇妙なことになっている。ピカチュウの黒目に違和感を覚えるのは自分だけじゃないと思いたい。
3Dになってキャラが動かしやすいのかはわからないが、不自然に無駄な動きも多かった。カートゥーンと勘違いしてはいないか。

と、悪口は尽きないのだが最終的にはそんなことは些細なことだと思えてしまうのだからやはりミュウツーの逆襲という作品は凄い。
エンディングの「風といっしょに」は当然、1枚絵たちもとても素晴らしくて胸が一杯になる。満足して映画館を去ることができるだろう。

ただ、次回も3Dで何かを作るというのなら別のスタジオに依頼した方がいいと切実に思う。

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